頭皮ケア

【ドクター監修】頭皮環境改善が重要な理由とは?薄毛への影響と対策方法を解説!

手で頭を押さえながら鏡を見る男性
監修ドクター
高田弘弥
日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座教授 医学博士・工学博士
【略歴】京都大学大学院工学研究科,名古屋大学大学院医学系研究科修了後,イギリス・ウォーリック大学,フランス国立科学研究所へ留学,日系化粧品会社所長代理・フランス系化粧品会社マネージャを経て,2018年より日本医科大学付属病院形成外科講師,現在同教授
【受賞歴】第11回世界毛髪研究会議(国際毛髪会議)最優秀賞(口頭発表部門),バルセロナ(スペイン),2019年など

頭皮環境の改善はとても重要です。ホーユー株式会社が20~39歳の男女82名に対して実施した調査1)によると、頭皮に赤みを生じているのは男性で約8割、女性で約7割にも達しており、約2割でフケや吹き出物が見られたそうです。このように、多くの人が気づかないうちに頭皮に問題を抱えています。

頭皮環境を改善することでこういった問題を解決するとともに、薄毛や抜け毛の予防が期待できます。ただ、具体的にどのように頭皮環境の改善をすればいいのかわからない方も多いと思います。

ここでは、論文などの信頼できる情報をもとに頭皮環境の改善が重要な理由を説明するとともに、頭皮改善が薄毛に及ぼす影響、頭皮環境を改善するための具体的な方法について解説します。

1)丸橋 佑基, 神谷 江美, 佐倉 正明, 丹羽 正直, 頭皮紅斑と異常毛根との関連性,日本薬学会第129年会, 26P-am232.

頭皮環境を改善すべき理由

頭皮環境は毛髪に様々な影響を及ぼします。ここでは、頭皮環境を改善すべき理由について解説します。

脱毛の原因になりうる

頭皮環境の悪化は、脱毛の原因になり得ます。

男性の薄毛の9割以上が男性型脱毛症(AGA)によるものですが、その原因として大きいのが遺伝や男性ホルモンです。AGAの原因の80%は遺伝によるものとも言われています2)。しかし、脱毛にはそれ以外にも原因があります。

Dクリニック新宿(旧メンズへルスクリニック東京)の小山太郎院長の研究3)によると、同じ遺伝子の一卵性双子であってもAGAの進行や治療効果は必ずしも同じではないとされています。つまり、遺伝以外の20%を占める環境因子も無視はできないのです。

その因子のひとつとして頭皮環境があり、頭皮環境は毛髪の成長に直接影響を与えます。大正製薬株式会社と明治薬科大学薬学部教授の共同研究4)では、「トリグリセリド、アクネ菌、マラセチア属菌がAGAの原因や進行に影響している可能性がある」として、頭皮の皮脂や細菌がAGAの原因や進行に影響している可能性が示唆されています。

つまり、頭皮環境は脱毛の原因になりうるのです。

2)Nyholt DR, Gillespie NA, Heath AC, Martin NG, Genetic Basis of Male Pattern Baldness, J Invest Dermatol. 2003, 121, 1561–1564.

3) 2011年7月にイスラエルのエルサレムで開催された15th European Hair Research Society(第15回ヨーロッパ毛髪研究学会)で学会賞受賞。

4) Suzuki K, Inoue M, Cho O, Mizutani R, Shimizu Y, Nagahama T, Sugita T. Scalp Microbiome and Sebum Composition in Japanese Male Individuals with and without Androgenetic Alopecia. Microorganisms 2021, 9, 2132.

毛髪形成に悪影響を与えうる

頭皮環境は毛髪形成にも悪影響を与えます。

日本化粧品技術者会誌にある「頭皮トラブルが毛髪物性に及ぼす影響と植物由来エキスによる予防」5)では、「視感判定による頭皮トラブル程度が高い群では毛髪の強度とハリ・コシが弱く皮脂分泌量が多い」とされています。

また、大正製薬の発表6)によると、「炎症や酸化ストレスによる頭皮環境の悪化が、毛髪の成長や発毛剤の効果に影響を及ぼす可能性が示唆されました」とされています。

つまり、炎症などの頭皮環境の悪化は、毛髪の強度やハリ・コシ、毛髪の成長や形成に影響を与えるのです。

5)江浜 律子, 島田 有紀, 仲西 城太郎, 萩原 基文, 岩渕 徳郎, 頭皮トラブルが毛髪物性に及ぼす影響と植物由来エキスによるその予防, 日本化粧品技術者会誌, 2018, 52, 16–23.

6)井野口 友紀, 川畑 豊, 竹内 敬子, 阿部 晃也, 長濵 徹, 高岡 彰子, 坪井 良治, 外的要因による頭皮環境の悪化とミノキシジルの発毛作用に及ぼす影響 , 日本薬学会第140年会, 27Q-am058., 新井 良平, 川畑 豊, 谷 優治, 榊原 佳, 鈴木 一裕, 高山 幸大, 井上 瑞菜, 槙原 史朗, 阿 部 晃也, 高岡 彰子, 頭皮環境悪化と頭皮悩み改善成分が毛包細胞に及ぼす影響, 日本薬学会第140年会, 27Q-am059.

頭皮環境の悪化によって起こる症状

鏡ででこを見る男性

頭皮環境が悪化した場合、どのような兆候が現れるのでしょうか?頭皮環境の悪化によって起こる症状を解説します。

フケ

フケとは、頭皮の表面にある細胞が剥がれ落ちたものであり、「皮膚表面から古くなった角質細胞が小さな鱗屑として剥離しているが、表皮の角化過程に変化が生じると鱗屑は目で見える大きさのフケとなる6)」とされています。

フケは生理現象であるとされていますが、目に見えるほど大きなフケが上着に付着していたり、髪に少し触れただけでフケが大量に落ちたりする場合は、何らかの頭皮トラブルが起きている可能性があります。

また、脂漏性皮膚炎という病気でもフケは発生するので注意が必要です。

7)坂本哲夫, 角田哲夫, 植村雅明, 鳥居健二, 武原博美, 松岡昌弘, 岡崎邦宣, 富田健一, 田中宗男, フケ抑制剤の評価と開発に関する研究, 日本化粧品技術者会誌, 1993, 27, 394–408.

赤み、湿疹

頭皮環境が悪化すると、紅斑(赤み)が起こることがあります。この赤みは頭皮トラブルの中で最も多く観察されています。

また、湿疹が起こることもあります。湿疹とは皮膚の表面に起こる炎症です。頭皮にブツブツができたり強いかゆみを伴うこともあります。

赤みや湿疹は自覚症状がないことも多いですが、頭皮環境の悪化が進むこともあるので注意が必要です。

脱毛

脱毛が多い場合は、頭皮に問題が起きているかもしれません。

上でも紹介した研究では、男性型脱毛症患者(AGA)の頭皮にはAGA以外の男性の頭皮よりも皮脂成分のトリグリセリドやアクネ菌、マラセチア属菌が多いことがわかりました。つまり、脱毛が起きている場合には、頭皮の皮脂成分や菌が多く、頭皮に問題が起こっている可能性があるのです。

また、脱毛とともに頭皮のベタつきやフケとかゆみが止まらない場合は、脂漏性脱毛症の可能性もあります。脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌により頭皮がべたつき、ニキビ、炎症、湿疹ができ頭皮環境が悪化して抜け毛が増加します。

頭皮環境の改善に重要なこととは

虫眼鏡で拡大された男性の頭皮

頭皮の環境や薄毛を改善するために、重要なポイントを解説します。以下のことに注意しないと頭皮環境や薄毛を悪化する可能性があるため注意しましょう。

洗浄

頭皮に汚れや皮脂が溜まると、炎症や細菌の繁殖など頭皮環境の悪化につながるため、洗浄が重要です。頭皮は皮脂の分泌量が多い部位だからこそ、洗浄して皮脂が過剰に残らないようにする必要があります。

また、皮脂や汚れが頭皮の毛穴に詰まると、脂漏性脱毛症や粃糠性脱毛症を引き起こすリスクも高まるので注意が必要です。

乾燥

頭皮の環境改善においては、乾燥も重要な要素です。頭皮の乾燥はフケやかゆみ、炎症などの頭皮トラブルを引き起こす可能性があります。

ライオン株式会社が発表した「毛髪・頭皮にやさしい洗浄技術」8)では、「フケ・かゆみの原因として、従来から考えられてきた菌や変質した皮脂とともに、乾燥が関与することを新たに見出した」とされています。

また、頭皮が乾燥しすぎると不足した皮脂や水分を補うために、皮脂が過剰に分泌されてしまいます。過剰な皮脂は頭皮トラブルの原因にもなるため、頭皮の乾燥にも気を配りましょう。

頭皮の乾燥のケア方法については以下の記事で詳しく解説しています。

https://media.sonorepro.com/dry-scalp-care/

8)柏井利之,毛髪・頭皮にやさしい洗浄技術, 日本化粧品技術者会誌, 2013, 47, 3–8.

血行

血行も頭皮環境の悪化や薄毛に影響を与えます。血行が悪いと、頭皮の健康維持に必要な栄養素が行き渡りにくくなってしまいます。

また、血行不良は薄毛の直接の原因になるともいわれています。9)髪の毛を作り出すのは、毛根にある「毛母細胞」という細胞です。この細胞には毛細血管を通じて栄養が運ばれますが、血行が悪くなると栄養が不足し、毛髪が成長しにくくなるのです。

さらに、血行不良によって頭皮の乾燥や硬化を招くことも考えられているので、頭皮が硬いと感じる場合は血行不良となっている可能性があります。

9)ライオン株式会社 ~男性の毛髪と頭皮に関する研究~「髪が薄い人は頭皮が硬い」ことを確認

食事の栄養バランス

食事の栄養バランスにも注意が必要です。栄養バランスが乱れてしまうと、頭皮を健康に保つための栄養が不足してしまいます。

例えば、ビタミンB2には皮膚の代謝を促す働きがありますし、ビタミンB6は皮脂量を調整する働きを持ちます。これらの栄養素が不足すると、頭皮の炎症などのトラブルを引き起こす可能性があります。

頭皮環境を整えるためにも、こういった成分を含む食事をするようにしましょう。

生活習慣

頭皮環境と薄毛においては、睡眠や喫煙などの生活習慣も影響を与えます。

髪の毛の成長や頭皮の新陳代謝・修復には成長ホルモンが欠かせません。成長ホルモンは就寝時に分泌されるため、睡眠時間が不足すると十分に分泌されず、頭皮環境を悪化させる可能性があります。

また、喫煙も頭皮環境と関係があります。タバコに含まれるニコチンには、毛細血管を収縮させる働きがあります。血管が収縮して血行が悪くなると、頭皮に栄養が行き渡りにくくなり、薄毛を進行させる可能性があるのです。

頭皮ケアの方法

頭皮ケアを行うことで、頭皮環境や薄毛の改善が期待できます。しかし、間違った方法でケアをすると頭皮にダメージを与えてしまい、頭皮環境が悪化する可能性があるため注意しましょう。

例えば、頭皮を清潔にしようとするあまり1日に何度も洗髪すると、必要な皮脂まで落としてしまいフケやかゆみ、乾燥の原因になります。

また、頭皮を叩くようなマッサージや地肌へのブラッシングなどは頭皮を傷つけてしまう可能性があります。頭皮環境を改善するには正しい方法でケアを行いましょう。

頭皮環境を改善するための方法

ズームアップされた男性の頭頂部

頭皮環境を改善し、頭皮トラブルや薄毛を防ぐための方法を紹介します。

洗浄

頭皮環境を改善するには、洗浄を行い皮脂や汚れを落としましょう。頭皮は皮脂の分泌量が多いため、1日1回などの頻度で洗髪するのがよいです。

洗浄する際は、シャンプーの成分を頭皮全体に届けるために十分に泡立て、指の腹でやさしく洗うようにしましょう。すすぎ残しがあると皮脂汚れやシャンプーなどが毛穴に詰まってしまい、フケや炎症の原因となるため、すすぎもしっかり行うことが重要です。

また、使用するシャンプーにも気を配りましょう。界面活性剤が多く使われているシャンプーは洗浄力が強いので、必要な皮脂も落としてしまい頭皮環境の悪化を招く恐れがあるため注意が必要です。

頭皮マッサージ

頭皮マッサージは、頭皮環境の改善や薄毛予防に有効です。

Dクリニックの研究10)では、市販の頭皮マッサージ器を使い、毎日4分の頭皮伸展マッサージを行ったところ、24週の時点で毛径の有意な増加が確認されました。

また、花王株式会社の「地肌マッサージの頭皮への作用」11)では、独自に創案した方法による約3分間の頭皮マッサージで「即時的な血行促進作用が認められ、平均で約120%まで上昇し、20分程度持続」することが確認されています。

このように、頭皮マッサージをすることで血行促進や育毛などの効果が期待できるのです。

頭皮ケア用のマッサージ器については、以下の記事で紹介しています。

https://media.sonorepro.com/scalp-care-massage-machine/

10)Koyama T, Kobayashi K, Hama T, Murakami K, Ogawa R,  Standardized Scalp Massage Results in Increased Hair Thickness by Inducing Stretching Forces to Dermal Papilla Cells in the Subcutaneous Tissue, Eplasty. 2016 , 16:, e8. eCollection 2016.

11)曽我 元, 森田 康治, 新井 賢二, 地肌マッサージの頭皮への作用, 日本化粧品技術者会誌, 2014, 48, 97–103.

食生活の見直し

頭皮環境改善のためには、栄養バランスが偏らないよう食生活を見直すことも重要です。頭皮の健康維持や髪の毛の成長を促すためには、タンパク質やビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などの栄養を摂りましょう。

また、脂肪の多い食事を摂りすぎないよう注意しましょう。高脂肪の食事は皮脂の過剰分泌につながる可能性がありますし、血行不良を招く恐れもあります。東京医科歯科大学や東京理科大学などによるチームが行った研究12)では、高脂肪食の過剰摂取で薄毛・脱毛が促進されることが発表されています。

12)「高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明」―幹細胞における炎症・再生シグナルの異常が毛包の萎縮を引き起こす―

生活習慣の改善

頭皮環境を改善するには、睡眠や運動、喫煙などの生活習慣を見直すことも大切です。

睡眠不足は髪の毛の成長を阻害してしまうので、十分な睡眠をとることで、成長ホルモンの分泌や頭皮の新陳代謝を促すことができます。さらに、Eve Van Cauter教授の論文13)では「成長ホルモン(GH)は、深い徐波睡眠(SWS)中に優先的に分泌される」と書かれているおり、睡眠の質を高めることも重要です。

さらに、運動不足や喫煙は血行不良や抜け毛を引き起こす可能性があるので、運動や禁煙を行うようにしましょう。

13)Van Cauter E, Latta F, Nedeltcheva A, Spiegel K, Leproult R, Vandenbril C, Weiss R, Mockel J, Legros JJ, Copinschi G. Reciprocal interactions between the GH axis and sleep, Growth Horm IGF Res. 2004, Suppl A:S10-7.

紫外線対策

紫外線対策も頭皮環境改善の効果が期待できます。

アンファー株式会社の発表では、頭皮は紫外線を浴びすぎると炎症や乾燥、毛根の萎縮などのトラブルを引き起こすとされています。「頭皮は顔の2倍以上の紫外線を浴びている」ともいわれているため、頭皮環境改善には紫外線対策も重要です。

外出時に帽子をかぶったり、頭皮ケア用のスプレーを使ったりして、頭皮を紫外線から守りましょう。

専門クリニックを受診

薄毛専門クリニックを受診することで、頭皮環境改善の効果が期待できます。専門のクリニックでは、医師がマイクロスコープで頭皮を観察、診断をしてくれますし、血液検査や遺伝子検査でAGAのリスクなどもチェックできます。

豊富なデータと最新の情報を持っているので、それぞれにあった最新の頭皮環境改善のアプローチを行ってもらえます。

まとめ:薄毛・抜け毛を予防するには頭皮環境の改善を

頭皮環境が悪化すると、フケや赤み、湿疹、抜け毛などの症状が起こります。こういった兆候が現れたら、今回紹介した方法で早めに対処しましょう。

頭皮環境を改善することは、薄毛・抜け毛の予防にもつながります。今回紹介した方法で頭皮環境を改善して、将来の薄毛も防ぎましょう。

薄毛が進行していると感じている場合には、専門クリニックの受診も検討しましょう。専門クリニックでは医師による診断が受けられますし、自分の症状にあった頭皮環境改善の治療を行ってもらえます。

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