AGA対策

【ドクター監修】前頭部の薄毛が進行する4つの原因と改善方法を解説

鏡を見つめる男性
監修ドクター
高田弘弥
日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座教授 医学博士・工学博士
【略歴】京都大学大学院工学研究科,名古屋大学大学院医学系研究科修了後,イギリス・ウォーリック大学,フランス国立科学研究所へ留学,日系化粧品会社所長代理・フランス系化粧品会社マネージャを経て,2018年より日本医科大学付属病院形成外科講師,現在同教授
【受賞歴】第11回世界毛髪研究会議(国際毛髪会議)最優秀賞(口頭発表部門),バルセロナ(スペイン),2019年など

前頭部は薄毛が目立ち、悩んでいる人が多い場所です。株式会社アデランスの調査によると、薄毛に悩む30代〜70代男性の42.4%が前頭部の薄毛に悩んでいることが明らかになっています。若年層ほど薄毛による見た目のコンプレックスを感じているというデータもあり、薄毛に悩む30代男性のうち70%以上が薄毛対策を行っています。つまり、前頭部の薄毛に悩む男性の身体的劣等感を打ち消すためにも、前頭部の薄毛を解決することは重要なのです。

今回の記事では、この前頭部の薄毛の原因や改善方法を紹介します。前頭部の薄毛が気になる方はぜひ参考にしてください。

前頭部の薄毛が疑われる症状

生え際を鏡で見る男性

まずはじめに、前頭部の薄毛とは、どのような症状のことをいうのでしょうか?

毛成長や毛髪に関する男性ホルモンの作用機転の研究を専門とする皮膚科医の安達健二氏は、薄毛の95%以上は男性ホルモンの影響で起きる男性型脱毛症(AGA: Androgenetic Alopecia)としています。AGAでは表皮や皮脂腺は全く正常である一方、毛包(男性ホルモン感受性毛包)がミニチュア化(毛の本数は同じであるが、毛が細く短くなってうぶ毛化が進行)するため、頭皮がテカテカに光って見えるだけと説明しています。つまり、形態学的にも生化学的にも本質的な病変が見られないのです。

では、前頭部の薄毛を判断するにはどうすればいいのでしょうか?

前頭部の薄毛の基準とは

まずは前頭部の薄毛の症状について解説します。以下のような症状が見られたら、薄毛を疑いましょう。

  • 剃り込みの深さが以前よりも大きく広がっている
  • 前頭部の生え際がM字型のように見える
  • 前頭部の髪の生え際から眉毛までの範囲が広がっている
  • 前頭部の生え際に細く・短い毛髪が増えてきた

また、前頭部の薄毛の基準を調べたところ、5%ミノキシジル発毛外用薬「スカルプDメディカルミノキ5」や化粧品、サプリメント、健康食品などを展開するアンファー株式会社が実施した調査では、「おでこの広さは、何cmを越えたら薄毛か」という質問に対して、20代と30代の男性の多くが「6cm以上」が薄毛であると回答しました。

前頭部の薄毛には明確な基準はありませんが、おでこの広さが6cmを超えると薄毛が進行していると認識されるようです。

前頭部が薄毛かどうかを確認したい方は、おでこの広さを測ってみましょう。世間が薄毛と認識する基準と比較して、薄毛が進行しているようだったら、ケアを検討してみてはいかがでしょうか。

前頭部の薄毛の原因とは?

虫眼鏡で拡大された男性の生え際

では、前頭部の薄毛の原因とはなんでしょうか。ここでは、前頭部の薄毛が進行する原因を紹介します。

男性型脱毛症(AGA: Angrogenetic Alopecia)

成人男性のうち、95%は男性ホルモンが関与したAGA1)が原因であり、前頭部の薄毛は男性ホルモン感受性毛包のうぶ毛化によって引き起こされると考えられています。

日本皮膚科学会のガイドライン(男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)では、AGAの発症頻度は20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40数%であることが記述されています2)。言い換えると、AGAの特性から、年齢とともに前頭部の薄毛(うぶ毛化)の発症頻度が高まっていくと考えられます。

1)JB Hamilton: Male hormone stimulation is a prerequisite and an incitant in common baldness, Am J Anatomy, 1942, 71, 451-480.

2)板見智,日本人成人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査,日本医事新報,2004, 4209, 27-29. 

牽引性脱毛症

牽引性脱毛症とは、髪の毛を持続的に引っ張ることで薄毛が生じる症状です。例えば、ポニーテールなどの髪の毛を後ろに引っ張るヘアスタイルによって起こることがあります。特に前髪にかかるテンションが頭皮にダメージを与え血行が悪くなり、結果として酸素や栄養が毛包へ届かないことで牽引性脱毛症を引き起こすことがあります。

米国における女性の毛髪科学研究の権威であるボストン大学医学部のLynne J. Goldberg教授は、毛包のミニチュア化に加えて、毛包密度の低下が牽引性脱毛症の特徴であると報告しました3)。牽引性脱毛症には瘢痕化(盛りあがった傷跡のように線維が硬くなり、毛包が損傷・消失する)もみられ、病因については現在もなお研究が続けられています。

牽引性脱毛症はヘアスタイルをアレンジする女性に多く見られますが、髪を束ねる男性でも見られることがあります。牽引性脱毛症による薄毛は、髪の毛にかかる負担を軽減することで改善が見込まれるといわれています。

3) LJ Goldberg. Cicatricial marginal alopecia: Is it all traction? Br J Dermatol, 2009, 160, 62-68.

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎も、前頭部の薄毛を招く原因となります。脂漏性皮膚炎とは、頭皮や顔、耳の後ろなど、皮脂の分泌が盛んな部位に生じる湿疹のことです。主な症状は、皮膚の炎症やフケの増加などです。脂漏性皮膚炎により頭皮の環境が悪化すると、抜け毛・薄毛につながる可能性があります。

株式会社資生堂の調査から、男性ホルモンが皮脂分泌を活発にするため、成人男性は女性よりも皮脂量が約2倍以上多いことがわかりました。

さらに前頭部は皮脂分泌が盛んな場所でもあるため、脂漏性皮膚炎によって前頭部の薄毛が発生する可能性があるのです。

抜毛症

抜毛症とは、自分で毛髪やまつ毛を抜いてしまう習癖異常のひとつです。特に前頭部は手が届きやすい範囲であるため、抜毛症によって薄毛が悪化することがあります。

ミネソタ大学の精神医学者のChristenson、Mackenzieらは、抜毛症(抜毛癖)のタイプとして、「焦点化型」と「自動化型」との分類を1994年に提唱しました4)

焦点化型は抜毛の感覚を求める行動形態で、自動化型は座りがちな仕事に従事している間に無意識に抜毛を行う行動形態です。抜毛症はネガティブな感情をコントロールしたり、髪の毛を抜く刺激を得たりするために引き起こされ、精神的要因によるものが大きいといわれています。自動化型の場合、地面に髪の毛が山積みになっていたり、新しい脱毛部位に気づくまで、自分が抜毛行動をしていたと認識すらないことがあります。そういった癖がないか気にしてみましょう。

ここまで前頭部の薄毛をもたらす原因を解説しましたが、ここで紹介した原因以外のことが薄毛を引き起こしている可能性もあるので、専門の医療機関で診断を受けるのがおすすめです。

4)GA Christenson, TB Mackenzie. Trichotillomania. In: Hersen M, Ammerman RT, editors. Handbook of prescriptive treatment for adults. 1994. pp. 217–235.

前頭部のAGAの原因とは?

男性の前頭部の薄毛の大きな割合が男性型脱毛症(AGA)によるものであることがわかりました。それでは、なぜAGAが生じるのでしょうか?ここでは、前頭部のAGAの原因を紹介します。

男性ホルモン

男性ホルモンはAGAを引き起こす主な要因のひとつです。男性ホルモンは筋肉や骨を発達させたり、髭や体毛を濃くしたりする働きがありますが、頭頂部や前頭部においては薄毛を引き起こすことがあります。

男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼ(とくに5αリダクターゼII型)という酵素と結びつくことによってジヒドロテストステロン(DHT)が生成されます。このDHTが前頭部頭皮の毛乳頭細胞にある「男性ホルモン受容体」と結合すると、頭髪の成長サイクルが抑制されてしまい、抜け毛や薄毛につながるのです。

ホルモンバランスの乱れは頭髪の成長サイクルに影響を与える可能性があるため、生活習慣や運動なども薄毛に関与しています。

遺伝

男性ホルモンと同様に、遺伝的要因もAGAを引き起こす要因のひとつです。ヘアメディカルグループの報告書によると、AGAの遺伝率は81%とされています。

先ほど紹介したガイドライン内にも、医療機関での男性型脱毛症の診断で親族の薄毛についての問診が推奨されていることからも、遺伝は重要な因子とされていることがわかります。

親族に薄毛の人がいる場合は、遺伝的要因によるAGAを疑いましょう。

ストレス

AGAは男性ホルモンや遺伝的要因のほかに、ストレスなどの環境的な要因も関与することがあります。近畿大学薬学部、医学部と毛髪クリニックリーブ21などの共同研究チームは、生活習慣やストレスなどの環境的な要因がAGAを引き起こす要因となる可能性があることを示唆しました

また、株式会社マンダムは医療法人社団Xanadu あやこいとうクリニックと共同で、頭皮状態とストレスの関係について研究を行い、ストレス指標が高いほど後頭部の毛経が細く、毛穴あたりの毛髪本数が少ない、頭皮の状態が硬いことを発表しています。

さらに、ストレスによって分泌されるホルモンの一種、コルチゾールは毛髪に影響を及ぼすこともわかっています。ストレスを日常的に感じている方は、前頭部の薄毛の要因がストレスである可能性を疑いましょう。

食事・睡眠

AGAは食事や睡眠などにも起因することがあります。食生活が乱れていたり睡眠に問題があったりすると、薄毛や脱毛の症状が進行しやすくなる可能性があります。

食事に関しては、栄養バランスが整っていないと髪の毛を成長させるために必要な栄養が不足してしまいます。髪に必要な栄養分であるミネラルやビタミンを十分に摂取するためにも、日頃の食事や飲み物に気をつけることが大切です。

また、睡眠不足や睡眠のリズムが狂うことによって、就寝中に分泌される成長ホルモンが十分に生成されず、健康的な髪の毛を作れないという事態を招く可能性があります。

前頭部の薄毛対策をするためにも、食事や睡眠に注意を払いましょう。

喫煙

喫煙はAGAによる薄毛を進行させる要因のひとつとなります。タバコには毛細血管を収縮し、血行不良を引き起こすニコチンが含まれています。血行不良になってしまうと、髪を生産する毛母細胞に栄養が行き渡らなくなり、髪の毛をスムーズに生み出すことができなくなるのです。

さらに、喫煙によってAGAの原因であるジヒドロテストステロンが増加するといわれています。ハーバード公衆衛生大学院の‪James McKinlay氏らの研究によると、非喫煙者と比較すると喫煙者の方がジヒドロテストステロンの数値が14%高いことが、中年の米国人男性1241人のデータから明らかになりました。

このように喫煙はAGAを進める可能性があるので、普段からタバコを吸っている方は特に注意が必要です。

前頭部の薄毛を改善する方法

シャンプーをする男性

では、前頭部の薄毛対策には何を行えばいいのでしょうか。ここでは、前頭部の薄毛を改善する方法を紹介します。

生活習慣を見直す

薄毛の改善を行いたいなら、まず生活習慣を見直しましょう。生活習慣の乱れは、薄毛を悪化させる恐れがあります。

食事では、髪の毛の成長に必要なタンパク質や亜鉛、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB群などをバランスよく摂取しましょう。脂質の多い食事は皮脂の分泌を増加させる可能性があるため、適度に行うのがよいです。また、十分な睡眠時間を確保しましょう。

他にも、血行不良を改善するための運動や逆に喫煙者は禁煙あるいは減煙を試みるなど、生活習慣を見直しましょう。

頭皮マッサージを行う

頭皮マッサージは薄毛対策になるといわれています。実際に、日本医科大学の研究により、振動圧刺激によって発毛効果が高まることがわかりました。

そして、Dクリニックによる研究でも、頭皮マッサージによって毛の本数や伸びに変化は見られないものの、毛髪の太さが増大することが解明されています。つまり、マッサージで頭皮に刺激を与えることで、薄毛対策ができるのです。

さらに、花王株式会社のヘアケア研究所は、圧迫法によるマッサージが最も血流上昇作用が高いことを明らかにしました

ストレスを解消する

ストレスは薄毛を進行させる要因となる可能性があるため、普段からストレスをためないように工夫することが重要です。

ストレスを解消できるように、休息・リラックスする時間を設けましょう。例えば、ウォーキングやランニングなど適度な運動を取り入れたり、適時日光浴、趣味や娯楽を行うなどストレス解消を日常的に積極的に実践してみましょう。

頭皮の環境を清潔に保つ

前頭部の薄毛や抜け毛を改善するためには、頭皮の環境を清潔に保ちましょう。過剰に分泌された皮脂や付着した汚れが毛穴に詰まったり、細菌などが繁殖して皮膚が荒れ、フケやかゆみ、炎症などに続いて、脂漏性皮膚炎が起こったり抜け毛が悪化したりする可能性があります。

頭皮を清潔に保つには、毎日の洗髪で頭皮の汚れを落とすことが大切です。頭皮に汚れが残らないよう、シャンプーを泡立て指の腹で頭皮全体を優しくマッサージするように洗うようにしましょう。

ただし、洗浄力の高いシャンプーを使うと必要な皮脂まで落としてしまい、頭皮の乾燥やフケの増加などにつながる恐れがあるので注意が必要です。

薄毛治療薬を利用する

前頭部の薄毛を本格的に改善したい場合は、薄毛治療薬を利用するのも有効です。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、ミノキシジルが含まれた外用薬やフィナステリドといった内服薬などが薄毛改善に有効とされています。

ミノキシジルには発毛効果があり、フィナステリドにはテストステロンをジヒドロテストステロンに変換する「5α-還元酵素Ⅱ型」を阻害する効果があります。これらの治療薬は個人で輸入・購入できます。しかし、個人輸入した薬には偽物が紛れている可能性があるので注意しましょう。厚生労働省のサイトでも注意を呼び掛けているので、必ず専門のクリニックから処方してもらうようにしましょう。

専門のクリニックに相談する

より確実に前頭部の薄毛を改善したい人は、薄毛治療専門のクリニックに相談することをおすすめします。

クリニックでは、専門医によるカウンセリングや頭皮検査、遺伝子検査、血液検査など様々な検査が受けられます。検査を行ったうえで治療薬の処方や薄毛の治療をしてもらえるので、原因と症状に合った薄毛対策を行うことができます。

また、LEDや低出力レーザー、植毛など最先端の薄毛治療も受けられるため、より高い薄毛改善効果が期待できます。確かな研究をもとに作り出された最新の治療方法は、信頼性が高くその効果も期待できます。

超音波を使った新しい薄毛対策とは

ピクシーダストテクノロジーズと日本医科大学形成外科教室・Dクリニックが共同で行った研究では、超音波を用いて非接触で頭皮に振動圧刺激を与える技術により発毛を促進することが認められました。

臨床試験では、非接触振動圧刺激を頭皮に週1回、20分間照射することによって成長期毛割合が増加し、休止期毛割合が減少することを確認しました。

非接触振動圧刺激と発毛治療に使用する塗り薬を併用した治療は、薄毛·AGA治療を行っているDクリニックに試験的に導入されています。また、ピクシーダストテクノロジーズでは、この非接触振動圧を利用した家庭用デバイスの開発を進めています。

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まとめ:前頭部の薄毛には早めの対処が肝心

今現在薄毛の傾向があるとすると、前頭部の薄毛は将来的により進行していく可能性があります。だからこそ、早めに治療を受けることが重要です。

前頭部の薄毛は目立ちますし、治療を始めるのが遅くなってしまうと植毛など手間やコストのかかる治療を行わなくてはならないかもしれません。

もちろん生活習慣の見直しやセルフケアも大切ですが、治療薬や最新の機器などを利用するのもおすすめです。

専門クリニックでは遺伝や血液など様々な検査を受けられますし、原因・症状に合った治療も行ってもらえます。最新の設備なども揃っているので、より前頭部の薄毛を抑えることができるでしょう。

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