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「ワカメで髪が生える」は事実?海藻の髪への効果をドクターが解説

わかめ
監修ドクター
高田弘弥
日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座教授 医学博士・工学博士
【略歴】京都大学大学院工学研究科,名古屋大学大学院医学系研究科修了後,イギリス・ウォーリック大学,フランス国立科学研究所へ留学,日系化粧品会社所長代理・フランス系化粧品会社マネージャを経て,2018年より日本医科大学付属病院形成外科講師,現在同教授
【受賞歴】第11回世界毛髪研究会議(国際毛髪会議)最優秀賞(口頭発表部門),バルセロナ(スペイン),2019年など

「ワカメを食べると髪が生える」と聞いたことがある方は多いと思います。髪が増えるというイメージから、薄毛予防として積極的に摂っている方もいるかもしれません。

しかし、ワカメを食べると髪が生えるという話には、医学的な根拠があるのでしょうか。ワカメが本当に髪に良いのか、今回、日本医科大学形成外科学教室の高田弘弥先生にお話をお聞きしました。

海藻類は毛髪に良い影響があると考えられる

ー 高田先生、ワカメを食べると髪が生えるというのは本当ですか?

高田先生「ワカメは髪にいいという噂は私も聞いたことがあります。でも、医学的根拠はないと考えていいと思います」

ー これまでワカメは髪にいいと信じて積極的に摂っていました……。

高田先生「そんなに落ち込まないでください。海藻といえども種類によって栄養素はかなり異なりますが、ワカメをはじめとした海藻類には、ほかの食品からは摂取しにくい栄養素が摂れる可能性があると私は考えます」

ー そうなんですね。早速、海藻に含まれる栄養素のうちミネラルについて調べてみました。

100gあたりの栄養素

ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン 亜鉛 マンガン ヨウ素
ワカメ(素干し) 6600mg 5200mg 780mg 1100mg 350mg 2.6mg 0.9mg 0.08mg 0.32mg
干しヒジキ(乾) 1800mg 6400mg 1000mg 640mg 93mg 58.0mg 1.0mg 0.14mg 0.82mg 45000mg
アオサ(素干し) 3900mg 3200mg 490mg 3200mg 160mg 5.3mg 1.2mg 0.80mg 17.00mg 2200μg
アオノリ(素干し) 3200mg 2500mg 750mg 1400mg 390mg 77.0mg 1.6mg 0.58mg 13.00mg 2700μg
テングサ(寒天) 2mg 1mg 10mg 2mg 1mg 0.2mg Tr Tr 0.04mg 21μg

引用元:食品成分表2022本表編(女子栄養大学出版部)
※Tr:微量

確かに違いますね。ところで先生、海藻はそれぞれ栄養素が異なるのに、ワカメを食べると髪が生えるとワカメが名指しされているのは何故でしょうか?

高田先生「残念ながらそれは私にもわかりません。しかし、日本人の食の歴史を紐解くと、日本人は太古の昔から栄養に恵まれていたと感じています。食文化を形成していく中で、ワカメや海苔といった海藻の色と髪のイメージを結びつけて連想した結果、ワカメを食べると髪が生えるという噂が生まれたのかもしれませんね」

食べるなら、ミネラル豊富なヒジキがおすすめ

高田先生「『ヒジキを食べると髪が黒々とする』という話を聞いたことはありませんか?

先ほどの栄養素の表を見比べると、ワカメよりヒジキのほうがミネラルが多いですよね。ヒジキには、ほかの食品からは摂りにくい栄養素を摂りやすいということが言えると思います。そのため、せっかく食べるのなら、僕はヒジキをおすすめしますね」

ー 確かにそうですね。ヒジキには抗酸化物質のミネラルが多く含まれているようです。昔から食卓に取り入れられているので、体にも良さそうですね。これからはヒジキをたくさん食べようと思います。

高田先生「子どもの頃から海藻を食べる習慣がありましたか?」

ー 私は子どもの頃から毎日のように食べていた記憶があります。

高田先生「それはよかった。実は、摂った食品から栄養を吸収できるかどうかは、腸内細菌に影響されるところがあるのでお聞きしたんです」

ー ということは、私がワカメを食べ続けてきたことは無意味ではなかったということですか?

高田先生「そうなんです。腸内細菌のことを考えると、無意味ではないと言えますね」

海藻類を栄養にできるのは日本人だけ!?

ー そういえば、以前、海藻類を栄養として吸収できるのは、日本人だけだという話を聞いたことがあります。

高田先生「そうですね。食べても実際には代謝されない食品はありますね。

海藻が栄養として代謝されない理由の1つに、腸内細菌の影響があります。先ほど子どもの頃から海藻を食べていると言ってましたね。人間の体はまだ腸内細菌が棲みついていない子どもの頃から食べているものに合わせて、腸内細菌のバランスが変わってくるんですよ」

ー 海藻の食物繊維を分解する腸内細菌は、日本人の腸にしかいないそうですね。

高田先生「日本人は子どもの頃から日常的に海藻を食べているから栄養を代謝できるけれど、そうじゃない地域の人はいきなり海藻を食べても代謝しにくいんです」

ー なるほど。食文化の違いで、栄養が吸収できるかどうかも変わってしまうということですね。

高田先生「同じ日本人でも、海の方に住む人に比べ、山の方に住む人は、海藻類を食べる量は少ないと予測できますから、代謝できる量にも差が出てくるでしょうね」

ー もしかして、食べ慣れていないものでも長い期間をかけて食べ続ければ、腸内細菌が変わることはありますか? たとえば、薄毛が気になるようになってから、これまで食べてこなかった海藻を食べるようにしても効果があるんでしょうか?

高田先生「子どもの頃から食べていないと難しいでしょうね。成人を過ぎたら、腸内細菌のバランスはそう大きく変わらないと思います」

ー 子どもの頃から海藻を食べさせてくれた親に感謝ですね。

高田先生「ちなみに、栄養があるといわれていても、実際には代謝できない食品は他にもあります。ダイズが代表的ですね」

ー ダイズですか! これも日本人が昔から食べてきた食材ですね。

高田先生「ダイズに含まれるイソフラボンが腸内細菌によって代謝されると、エクオールという女性ホルモンと似た働きをする物質に変換されます。イソフラボンはエクオールに変換されて初めて人間の体に作用するのですが、実際にイソフラボンをエクオールに変換できるのは、日本人のうち、2人に1人程度しかいないと言われています」

ー ダイズに含まれるイソフラボンにはダイエットに効果があると言われてますが、代謝できないとその効果もないということですか?

高田先生「マウスでの実験では、イソフラボンを摂取させると体重が確かに落ちます。しかし、マウスと同じように人間が痩せるかというと、環境や食生活によるため、必ず痩せるとは言いがたいです。ダイズを食べてもイソフラボンからエクオールに変換できなければ、カロリーだけ摂取することになってしまいます」

ー カロリーだけ摂取したら、痩せるどころか太ってしまいますね……。

高田先生「最近では子どもの頃から大豆を食べていないと、イソフラボンをエクオールに代謝できないということが学会の発表でも出てきています」

ー ダイズを摂取した後にエクオールの値を測定すると昔からダイズをよく食べてきた日本人や中国人は約50%が代謝できるのに対して、欧米人は約30%(1だというデータを見つけました!

高田先生「幼少期から摂取することで、必要があるから腸内細菌のバランスが変わっていくのだと思います」

ー 確かに調べてみると、まだ腸内フローラが完全にできていない新生児はあまりエクオールを生成しないこと(2や、離乳食以降の食事内容によって腸内細菌叢に差が出てくること(3が発表されていますね。

1.日本女性医学学会雑誌, 20: 313-332, 2012
2.「大豆イソフラボン類の代謝と腸内フローラ」平山和宏
3.「腸内細菌叢からみた小児の健康」金子一成

サプリメントより、食事から栄養を摂ることが重要

ー 今日お聞きしたお話ではヒジキに含まれる抗酸化ミネラルが髪にも良いとのことですが、サプリメントで摂取しても効果はありますか。

高田先生「サプリメントでも十分ですが、できれば食品から摂取するほうが理想的です」

ー サプリメントと食事では、何が違うんですか? 同じ成分なら同じように感じます。

高田先生「腸での栄養の吸収という点で違いがあります。サプリメントより食品から栄養を摂った方が、代謝されやすいんです。

食品はよく噛んで咀嚼し、胃で消化し、吸収力を発揮する時にタイムリーに腸に届くので、最も効率的に栄養を摂ることができるんです」

ー 吸収しやすい状態になってから、腸に辿りつく仕組みになってるということですね。

高田先生「はい。食事で栄養を摂ることが、腸で栄養を吸収する人間の体に適しているんですね。サプリメントの場合、飲んだ分が全て吸収されるかというと、そうでもありません」

ー なるほど。サプリに頼らずヒジキをモリモリ食べようと思います。

高田先生「ただ、何より大切なのは、栄養バランスよく食べることですよ!」

まとめ

食事は栄養バランスが大事。わかっていても、なかなか実践できないですよね。医学的な根拠はないものの、ミネラルを含む海藻類を食べることは毛髪と健康に良さそうです。ミネラルを摂取するために、ワカメよりミネラルの多いヒジキを食べることからはじめてみるのはいかがでしょうか。

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